月別アーカイブ: 2015年7月

シグナルハーネスで繋ぐ

* 旧サイトからの転載・加筆

Altium Designer では、シグナルハーネスというユニークな接続の手段が提供されています。これはちょうどワイヤーハーネスのように複数のワイヤーを一束にしたもので、1本のハーネスを配置するだけで一度に多数のネットを接続することができます。

harness_com

シグナルハーネスで配線を行なう場合、まずハーネスコネクタとハーネスエントリーを配置します。そしてハーネスコネクタからシグナルハーネスで信号を引出し、これにポートを取り付けます。

まず以下の回路図をご覧下さい。ただ単に 2 本のコネクタの間を接続するだけの回路です。

harness_1a

これを見るとシグナルハーネスがどのようなものなのか一目瞭然です。中央付近に淡い青色の見慣れないシンボルが配置されていますが、これがハーネスコネクタです。ここに示されているように、シグナルハーネスでは、単一ネットとバスの両方を取り扱うことができます。

シグナルハーネスを使うと、バスとバスをコントロールするための複数の制御信号を、一本の線で表現することができますので、回路図を大幅に簡素化することができます。また、ネット名が一致しないバスや単一ネットの間を接続することもできます。

シグナルハーネスにはネットラベルを付けることができます。ネットラベルを付けた場合、プロジェクトオプションの Higher Level Names Takes Priority (上位階層名を優先)を有効にすることによって、バスや個々の配線に与えられているネット名を書き換えることができます。

この回路図では、ネット名が一致しないバスと個別ネットを持つ 2 つの回路の間を、シグナルハーネスによって接続しています。またシグナルハーネスにネットラベルは与えていません。そして、この回路図からは、以下のようなネットが出力され、回路が意図どおりに接続されていることがわかります。

har_net1

シグナルハーネスはネット名に依存しない接続機能ですので、ネット名が統一されていない既存の回路を使い回すような場合には便利だと思います。またシグナルハーネスでネット名を再定義するという機能についても、役立ちそうですので後日試してみる予定です。

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Altium 2015年 6月期決算の速報

Altium では今月 7月から新しい事業年が始まっており、前年度 6月末の決算結果の速報 が行われています。

これを見るかぎり相変わらず順調に売上げを伸ばしていますが、過去のデータと比較するとここ数年は売上げの伸び率が少しずつ底下してきているのがわかります。

Revenue(営業外s収益等を含む収入額)

altium_2015_06r

Sales(売上高)

altium_2015_06s

ただし、実際の販売量の増減については為替レートの変動を考え合わせた判断が必要になります。例えば、ここ 1年間に USドルは、ユーロや円に対して 20% 程度値上がりしており、この変動は売上の数値を引き下げる方向に作用します。現に為替の影響を受けない米国での販売は 30% も拡大しており、実際の総販売量は前年以上に伸びているのではないかと思います。

あと株価が気になるところですが、決算月の 6月始めくらいから少しづつ下がりはじめ、現在ではそれ以前の水準から 15-20% くらい下がったところで安定しています。この動きをみると投資家は Altium に対して、2桁成長の堅持を求めているようです。

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Allegro PCB データの読込み

Altium Designer には OrCAD や PADS 等の、他社の CAD フォーマットで保存されたデザインファイルを読み込む機能が用意されています。

サポートされているのは PC-CAD(パソコン CAD)に分類される比較的安価な製品のフォーマットがほとんどなのですが、一部の高額な製品も含まれています。その一つに Allegro の PCB ファイルの読込機能があり、利用されている方も多いようです。

allegro2ad

この Allegro 読込機能も他のものと同様、インポータープラグインによって提供されており、プラグインを組み込む こ事によって利用できるようになりますが、他とは若干使い方が異なります。

その違いの一つは、同じ PC 上に Allrgro がインストールされている場合には、Allegro からの ASCII データの抽出から Altium Designer への読込みまでの一連の作業が Wizard によって自動化されている事です。

また、Allegro が別の PC にインストールされている場合に対しては、ASCII ファイルの抽出を容易に行えるように ” Allegro2Altium.bat ” と ” AllegroExportViews.txt ” の 2種類のファイルが Altium から提供されています。ユーザーはこの 2つを Allrgro PCB ツール がインストールされている PC にコピーして ” Allegro2Altium.bat “を起動しすることにより、Altium で読込可能な ASCII 形式のデータをすぐに取り出す事ができます。そしてその ASCII データは他の CAD データと同様、Import Wizard で Altium Designer の 読み込むことができます。

この Allegro  ファイルの読込の手順は、弊社の Altium Designer ユーザー情報サイト で説明されています。また Aktium の wiki サイト でも説明されています。

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