Altium の企業買収と技術資産の継承

 CAD 業界では企業買収によって規模を拡大し、成長を遂げた企業が多くありAltium もそのうちの一社です。

複数の小さな会社がひとつに集約されることにより開発が効率化され、製品の進化は加速します。もちろんこの事はユーザーの利益に繋がるわけですが、買収された側の製品のユーザーにとっては喜べるものではなくむしろ災難に近いものがあります。なぜなら今使っている CAD ツールが切り捨てられてしまう事が多いからです。

多くの場合、競合商品を持つ同業者を買収すると買収された側の商品は消滅し、買収側の商品がその後継に位置付けられます。Altium も例外ではなく、いくつかの CAD メーカーを買収し、それらの企業の商品の販売を取りやめました。しかし Altium では Altium Designer を真の後継機種としてご利用いただけるように、これまでに描き蓄えられてきた既存のCAD データを読み込んで再利用するための機能を提供しています。

Altium では PCB CAD メーカとして Microcode 社と ACCEL Tecnologies 社を買収しています。そしてこれらのメーカーの製品のすべて製品の販売を取り止めましたが、Altium Designer にはこれらの CAD データの読み込み機能が完備されており、既存の秘術資産を無駄にすること無しに Altium Designer で利用することができます。

Altium が 2000年に買収したACCEL Tecnologies 社の製品のサポート

P-CAD(Windows)

ACCEL EDA のの名称で販売していたものが P-CAD に名称変更されたものです。ACCEL Tecnologies 社を買収した後も販売が続けられ、P-CAD 2006 を最後に Altium Designer に引き継がれました。そして Altium Designer はその後継として、この P-CAD ファイルの読込機能を備えており、P-CAD で作成された回路図や PCB などの技術資産を無駄にすることなく、再利用できます。

なおこの機能はプラグインで提供されており、AliumLive サイトでその仕様が詳しく説明されています。

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なお、上記プラグイン詳細情報へのアクセスには AltiumLive アカウントへのサインインが必要ですので、まだアカウントを取得されてない場合には Altium Live Requests からお申し込みください。

ACCEL EDA (Windows)

P-CAD に名称が変更されるまでの ACCEL社のメイン商品であり、廉価版(4層4000ピン)と通常版では P-CAD への移行時期は異なりますが、P-CAD への移行が完了したのは V15 くらいの頃だと 記憶しています。Altium Designer で読込めることが正式に表明されているのはこの V15 以降のファイルであり、これ以前の ACCEL EDA のファイルの読込は保証されていません。しかし実際には古いバージョンでも読み込むことができ、V13のファイルが読めることがユーザーから報告されています。ただし、日本語フォントが使用されていなる場合には読めないようです。

P-CAD Master Designer(DOS)

ACCEL 社が P-CAD 社 を買収した時点での P-CAD  のメイン商品であり、P-CAD 買収後、すぐに販売が取りやめられました。Altium Designer はこの製品の ASCII インターフェイスである PDIF ファイルの読み込み機能を備えておりこの P-CAD Master Designerで作成したファイルを読み込んで Altium Designer で再利用することができます。

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TANGO(DOS)

TANGO は ACCEL Tecnologies の CAD ツールが Windows に移行する前の DOS 製品であり、このTANGO で作成したファイルも Altium Designer に読み込んで再利用することができます。

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Altium が 1998年に買収した MicroCode 社製品のサポート

Altium が 1998年に MicroCode 社を買収し、その後もそのメイン商品である Circuitmaker の販売を継続していましたが、Circuitmaker 2000を最後に販売を終了しました。そしてその後継製品である Altium Designer はこの Circuitmaker で作成されたファイルの読み込み機能を備えています。

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なおこの CircuiteMaker のプログラムは Altium TechFocs サイトの Legacy Dounloads からダウンロードできます。ただしインストール時にアクセスコードの入力が必要なため、ユーザー以外は利用できません。 また、これらの製品のドキュメントやアップデートパッチが Altium TechDochs サイトの Legacy  Documentetion から入手できます。

以上のように Altium Designer は買収によって販売が終了した CAD の真の後継機種としてご利用いただけますので、是非とも Altium Designerの導入ををご検討ください。

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