Altium Designer FAQ. プロテルユーザー編

* 更新:2015/10/18

Altium Designer は以前 Protel(プロテル)の名称で販売されていた CADツールの後継製品です。Altium では Protel 2004 を最後に Protel ネームの使用を取りやめ、2005年後半から 2006年にかけて Protel から Altium Designer へのブランドの切り替えが行われました。

このブランドの切り替えからほぼ 10年が経過しましたが、まだまだ多くの Protel CAD ツールが現役で稼動しており、4月 14日の Windows XP のサポート終了を受け Altium Designer への移行の気運が高まっています。

Altium Designer は Protel が正常に進化した上位互換の後継製品です。しかし名前が変わったことにより、移行に慎重になっておられる方も多く、今まで数多くのお問合せをいただきました。

Q1. Altium Designer では以前のプロテルで作成した回路図や PCB、ライブラリを読込めますか?
A. Womdows 版で作成されたものであればすべて読込みできます。

Womdows 世代の全バージョンをサポートしています。プロテル DOS 世代の技術で開発された CircuitMaker 2000 で作成されたファイルの読込も可能です。Protel から Altium Designer への移行術

Q2. Altium Designer で作成した回路図や PCB を以前のプロテルフォーマットで保存できますか?
A. 古い Womdows 版 のフォーマットでの保存が可能です。

回路図ファイルは Protel 99 SE、PCB はAdvanced PCB 2.8 のフォーマットで保存できますので、それ以後のバージョンであれば、Altium Designer で作成し保存したものを旧バージョンで読込むことができます。 他社製品及び Altium 旧製品との互換性 Protel 99 SE から Altium Designer への移行

Q3. Altium Designer は以前のプロテルからどれくらい進化していますか?またどこがちがいますか?
A. 機能は別物のように進化しています。旧製品のコマンド体系を踏襲しており移行は比較的容易です。

日本語環境の日本語化が進みメニューとダイアログボックスが日本語化されました。PCB では日本語の入力が可能になった他、面付けロゴデータの貼り付け3D 表示などの機能が加わり別物のように進化しています。 Altium Designer 10、Protel 99 SE からの進化

ここまでは Altium Designer へのアップグレードの検討中によくいただくお問合せです。そしてここからは、アップグレードされた後によくいただくお問合せです。2002年の Protel DXP リリースのタイミングで機能が大きく変更されあしたが、この時のアップデートに戸惑われている方が多いようです。

Q4. ネットリストの読み込み方がわかりません。
A. ネットリストの読込コマンドは無く、コンペア機能を使って読込を行います。

Altium Designer にネットリストの読み込みコマンドがありません。 Altium Designer は、2つのデータの 間の違いを比較することができる、強力なcomparator engine(コンパレータ・エンジン)を備えており、ネットの読み込みはこの機能を利用して行います。入力ソース(ネットリスト)とターゲット(空の PCB レイアウト)の違いを検出し、両者に違いが見つかれば一方のデータを更新して一致させます。PCB データが空の状態であればネットリストに含まれている部品を全て PCB 上に呼び出すことにより、両者のデーターは一致します。 ネットリストの読み込み手順

Q5. 古い回路図からの PCB データの更新がうまくいきません。
A. コンポーネント ID をリセットしてみてください。

Protel 99 SE 以降、回路図と PCB とのリンクは、デジグネータ(部品のリファレンス番号)でななくコンポーネント ID によって行われます。Protel 98 以前の回路図シンボルにはこのコンポーネント IDは存在しませんので、回路図と PCB を正しくリンクさせることができません。このため Update-PCB コマンドを起動した時に部品の欠落が生じます。このような場合には、コンポーネント ID をリセットしてください。 Update PCB とコンポーネント ID

Q6. PCB の変更を回路図に反映する方法がわかりません。
A. ECO ではなく Update Schematic コマンドを使います。

Altium Designer は強力なコンパレータ・エンジンにより回路図とPCB の間の差分を検出することができます。Update Schematic コマンドでこの差分の訂正を行うことにより、PCB に加えられた変更を回路図に反映します。単純な ECO とは異なり両者のデータの整合が保証されます。

Q7. .一括変更のやりかたがわかりません。
A. グローバルエデットではなく類似オブジェクトの選択とインスペクタを使います。

Protel 99 SE までのバージョンでは、プロパティ画面からグローバルエデット・ボタンを押すことにより、一括変更を行うことができましたが、Altium Designer ではこの機能がなくなり、代わりに類似オブジェクトの選択とインスペクタ(Find Similar Objects / Inspector )を利用します。 グローバルチェンジが無い

Q8. 不要なジャンクション・ドットの消し方がわかりません。
A. 自動的に発生するジャンクションを消すことはできません。

Altium Designer ではワーヤーの接続箇所に対して自動的にジャンクション・ドットを発生させる機能を備えており、この機能を無効にすることはできません。もし意図しない部分にジャンクションが発生した場合には、Altium Designer のルールにあわせて回路図を修正することが必要です。 ジャンクションの恐怖 続ジャンクションの恐怖

Q9. PCB に部品が呼び出されたときに現れる四角い箱は何?
A. Room 機能により、回路図シートごとに部品がグループ化されたものです。

回路図シート単位で部品がグループ化され、グループ内の部品をまとめて移動したり、グループごとに異なるデザインルールを適応したりすることができます。たとえば 1枚の基板上に実装する回路の電源部と信号処理の部分の回路がそれぞれ別のシートに描かれていた場合には、電源部と信号処理の部分が別々の Room にグループ化されます。なお Room は選択して Delete キーを押すことにより解除できます。また Room が発生しないように設定変更することもできます。 Room が邪魔なときには…

Q10. ガーバーインができません。
A. Altium Designer で作成したガーバーデータしか読めないように作られています。

Altium Designer の PCB ツールのガーバー入力は、ガーバーファイルのヘッダーを解析し、Altium Designer で作成したガーバーファイル以外は読み込まないように設計されています。よって、他社製品で作製されたガーバーデータを PCB エディタに取り込む場合には、付属のガーバーエディタを経由する必要があります。このガーバーエディタととの併用によるリバースエンンジニアリング機能を用いて、他社製品で作製されたガーバーデータをインテリジェントな Altium Designer の PCB データに変換することができます。ガーバーインとリバースエンンジニアリング機能

Q11. 基板外形の作成方法が良くわかりません。
A. Board Outline オブジェクトを使います。

Protel 99 SE までのバージョンでは、基板外形をキープアウトレーヤに作製していましたが、Altium Designer では Board Outline オブジェクトを用いて作製します。Board Outline 自体はガーバー出力できませんが、Board Outline を基準にして基板外形のルーターデータを出力する機能が用意されています。 Altium Designerの基板外形

Altium Designer へのアップグレード価格などのお問合せは info@anvil.co.jp、機能や使い方に関するお問合せは support@anvil.co.jp  までお気軽にどうぞ。

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