Altium のハイエンド CAD “ATINA” を謎説く

投資家向け資料 “Altium Ltd FY16 Full Year Presentation 24 Aug 2016” の製品戦略ページには、開発中のハイエンド CAD について言及されています。以下のチャートにあるように、”ATINA” と命名され Altium Designer の上位に置かれています。

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そこで気になるのが “ATINA” の右横にある “OEM Partner Prodact”の表記です。これをそのまま受取ると、OEM パートナー向け又は OEM パートナーの製品という事になります。しかしフラグシップの役割を担う重量な製品ですので、他社に供給するような製品では無いはずです。

おそらくこの “OEM Partner Prodact” の意味は OEM パートナー製品との連携・統合機能の強化や、協業の意思表示なのではないかと思います。そしてその成果として、OEM 先ブランドでの販売が目論まれているのではないでしょうか?

またここには “ATINA”のスクリーンショットと共に機能の概要が示されています。

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ATINA

・マルチボード/システムデザイン機能
・先進の配線機能
・コンストレイント-ドリブン設計機能
・大規模な PCB の取扱が容易

X2 Platform

・次世代の 3D グラフィックエンジン
・洗練されたユーザーインターフェイス
・64ビットコンピューティング構造

まだ ATINA のほんの一角を垣間見た段階ですが、かなり先進的なもののように見えます。しかし、すでに他社がシェアを押させている市場に参入し設計者の支持を得るのは並大抵な事ではありません。

20年ほど前 Windows が普及し始めた時のような大きな波がやってくればそれに乗っかって攻め込む事もできます。しかし今それは望めませんので、メカ CAD との連携・統合の強化や、ライセンス形態の多様化など、時代のニーズに愚直に応えていくしか方法が無いように思います。

特にライセンス形態については、高額なライセンスの買い取りだけでなく、使った時間だけ課金するという形態が提供できればユーザーにその利便性を訴求できます。私個人としては、使用した時間に対する課金とクレジットカードによるオンライン決済を組み合わぜたような、新しいスタイルのライセンス形態が出現することを期待しています。

いすれにせよ、今までのような永久ライセンスを主軸に、ハイエンド市場を開拓するのは難しそうに思えます。

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