Altium Designer FAQ. 使用許諾契約書編

* 更新:2015/10/18

Altium Designer の商談中には、こんな使い方はできますか?というお問いわせを日常的にいただきます。この「できますか?」という問いには「機能が存在しそれが動作するか?」という事と「ライセンス上、使用が許可されているか?」の 2つの意味合いが含まれており、動作したとしても使用が許諾されていなければ使ってはならないという事になります。

この使用許可の範囲については、使用許諾契約書(ALTIUM END-USER LICENSE AGREEMENT)に契約条項として示されており、その範囲を超える使用方法は、動作したとしても許可されていません。さらに、Altium Designer の販売形態は使用許諾の提供です。そしてその契約内容が示された使用許諾契約書 は納品物の仕様の補足・確認書類としての役割を合わせ持っており、 Altium Designer の利用に際しては内容の十分な把握が必要になります。

なお使用許諾契約書は 2015年5月に改訂 されています。改定後もこの FAQ で解説されている条項に改定は見あたりませんが、Altium Designer のライセンスは この新しい改訂版 で使用許諾されていますので、可否の判断に際しては必ずこちら をご確認ください。

Q1. Altium Designer のライセンスは誰(どこ)に対して提供されるのですか?
A.  地理的に同じ位置に所在する部門に対してライセンスされます。
      使用許諾契約書|ライセンスは誰(どこ)に提供されるのか?

地理的に同じ位置に所在する部門に対してライセンスされ、ユーザーとして登録される個人は、その管理者ということになります。このため、同一敷地内の部門に勤務する各従業員は正式にライセンスを受けたユーザーとして、Altium Designer を使用することができます。また、Altium Designer のライセンスは「一時的な使用」であれば、正式にライセンスされていない部門や場所での利用が認められています。

Q2. Altium Designer を利用する場合、使用許諾契約書への同意は必要ですか?
A. インストール時に同意が求められますが、一時使用の場合には同意無しに利用できます。
     使用許諾契約書|Altium Designer の一時使用条項

Altium Designer のインストール時に 使用許諾契約書 への同意が求められ、これに同意しないとインストールできませんので同意は必須です。しかし管理者がインストールしたものや評価版としてインストール済みのプログラムを利用する場合には、使用許諾契約書に同意せず、一時使用の形での Altium Designer の利用が認められています。

Q3. Altium Designer を社外や他部署の設計者に貸し出す事はできますか?
A. 一時使用の条項で、社外や所在地の異なる部門へのライセンスの貸し出しが認められています。
     使用許諾契約書|外部設計者による Altium Designerの利用

一時使用として社外や他部署での使用が許可されていますが、貸し出し先の PC へのインストールは制限されています。

この一時使用の条項には、「いかなる場合も、一時使用の結果、許諾資料の追加コピーが作成されたり、または他者のコンピュータもしくはコンピュターネットワークにインストールされることにならない」という条文と、「コンピュータまたはコンピュータネットワーク上にこれのコピーを残すことまたはこれをインストールすることはしないものとします」という 2つの条文があり、貸出先の PC へのインストールは出来ないということがわかります。

ただし、プログラム自体については、無償提供されている評価版によってすでにインストールされている場合があり、これを制限することは事実上できません。よって、この条項の運用上、インストールが制限されているのはプログラムではなく、ライセンス(ライセンス・キーファイル)であると判断されます。

このため、ライセンスの外部への貸し出しは、ライセンスファイルが PC に保存されない オンデマンドライセンスに限定すべきであり、ライセンスファイルが保存される スタンドアロン や プライベートサーバー の貸し出しは避けたほうがが無難です。
また、どうしても スタンドアロン や プライベートサーバー の貸し出しが必要な場合には、PC にインストール済みのものを PC ごと貸し出すという形を取る必要がありそうです。

Q4. Altium Designer を国外に持ち出して使用することはできますか?
A. 一時使用の条項で国外への持ち出しが認められています。   
     使用許諾契約書 |Altium Designer を国外で使用

一時使用として許可されていますが、持ち出し先にインストールを残すことは許可されていませんので、上記  Q3. の場合と同様の注意が必要です。また、国外での恒久的な使用は認められておらず、利用期間が決まっていない場合にはグローバル(ワールドワイド)ライセンスをご利用ください。。

Q5. スタンドアロンライセンスを複数の PC にインストールすることはできますか?
A. 自宅の PC 1台に追加インストールすることが認められています。
     使用許諾契約書 |スタンドアロンの 2台目インストール

これは 一時使用ではなく正式なライセンス条件として許可されています。ただし、この追加インストールは自宅の PC 1 台に限って許可されており、持ち出し用のノート PC への追加インストールは許可の範囲外です。

Q6. Altium Designer を返品することはできますか?
A.  使用許諾契約書に同意できない場合、インストールまたは使用前であれば返品が可能です。

以下の条文により返品が認められています。
「本契約の契約条項に同意されない場合、お客様は許諾資料のインストール、または使用することはできないものとし、お客様が、すでに許諾資料を入手または購入されており、これを未だインストール、または使用していない場合は、当該許諾資料を速やかに購入した店舗に返却していただけば、購入代金は返金いたします」
しかし返品・返金の手続きは非常に煩雑になりますので、出来る限り事前に使用許諾契約書をお読みいたき、内容に同意の上ご発注ください。

補足-1: プログラムの重複インストールの制限について

一時使用の条項では一時使用者の PC への許諾資料のインストールが制限されおり、また他にも許諾資料の重複インストールを制限する条項が存在します。そしてこの許諾資料には、ライセンスファイルに加えてプログラムそのものも含まれており、文面どおり解釈するとプログラムの重複インストールは許可されないことになります。しかし、プライベートサーバー や  オンデマンドライセンス は購入したライセンス数以上の PC にプログラムをインストールすることが前提になっています。また評価版の利用の際にもプログラムがインストールされ、現実にプログラム自体のインストールを制限することはできません。このためこれについては「ライセンスファイルについては条項どおりインストールが制限されるが、プログラムについては制限されない」という解釈で条項が運用されているのが現実です。

補足-2スタンドアロン と プライベートサーバーの持ち出し・貸し出しについて

Altium Designer には、持ち出し・貸し出しが容易な、オンデマンドライセンス が用意されていますが、一時使用の条項では ライセンスタイプ の種類に係わらず持ち出し・貸し出しが許可されています。しかし、持ち出し・貸し出し先の PC への許諾資料のインストール、若しくはそのコピーを残すことが許可されておらず、スタンドアロン と プライベートサーバー の場合には緻密な条項の解釈と対応が必要になります。このためライセンス持ち出し・貸し出しには可能な限り オンデマンド タイプを用い、もしどうしても スタンドアロン や プライベートサーバー の貸し出しが必要ば場合には、PC へのインストールが完了したものを PC ごと貸し出されることをお奨めします。

なお、上記は Altium の一代理店であるアンビル コンサルティングのの見解ですが、使用許諾契約はメーカとエンドユーザー様との間の契約です。よって上記の可否の判断とその運用については、使用許諾契約書の原文を詳しくお読みいただき、エンドユーザー様ご自身の責任で行っていただくようにお願いいたします。

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