Protel から Altium Designer への移行術

 今年に入り Protel から Altium Designer へのアップグレードパスが復活した事もあり、Altium Designer 最新版への移行を検討されている方々からのお問合せが増えました。そしてその内容の多くは Protel で作成されたデータの再利用、操作性の違い、価格に関するものです。

Altium Designer は、古い Protel で作成されたデータの読込ができ、エディターの編集機能(コマンド体系)も Protel の上位互換になっていますので使いこなしにさほどの苦労はいらないはずです。そして アップグレード価格で購入できるので、新規購入よりは安上がりです。

そこで、これらを踏まえて具体的な導入検討が始まるわけですが、多くの場合、稼動しているライセンスの数が 1つではなく、ユーザーによっては 10ライセンスを超えるような場合があり、このような多数のライセンスからの移行時には、どうしてもリスクの最小化が必要になり、また予算上の制限も出てきます。

そこでお奨めしたいのが、まず一部のライセンスのみ Altium Designer に移行し、残りの Protel を併用しながら徐々に Altium Designer に移行するという方法です。幸にも Altium Designer は  Protel との高度な互換性を備えており、設計プロセスのどの段階からでもデーターを引き継ぐことがでるので併用は容易です。

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●  Protel の回路図シンボルの共用
Protel で作成されたシンボルライブイラリを読み込んで利用できるので、Altium Designer で設計する場合でも Protel で作ったシンボルライブラリが無駄になることはありません。

● Protel で描いた回路図の利用
Protel で作成した回路図を読み込む事ができるので、Protel で描いた回路図をAltium Designer に引継いで回路図の作成に役立てることができます。

● Protel で完成させた回路図を Altium Designer に読み込んでて利用
Protel  で完成させた回路図を Altium Designer に読込み Altium 統合環境を利用して PCB 設計やシミュレーション、ドキュメント出力などを行うことができます。

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● Protel の PCB フットプリントを利用
Protel のフットプリントライブイラリを読み込んで利用できるので、Altium Designer で PCB を設計する場合でも Protel で作ったフットプリントライブラリが無駄になることはありません。

● Protel で部品配置した後 Altium でその後の設計を行う
使い慣れた Protel で部品配置までを行い、その後の配線や CAM 出力などの工程を Altium Designer で行うという設計分担が可能です。複雑な PCB の設計を行う場合に効果的な方法です。

● Protel で配線を終えた PCB を Altium Designer で利用
Protel で配線を終えた後の工程を Altium Designerで引き継ぐことができる他、以前に Protel で設計済の PCB データを新たな PCB の設計に役立てることができます。

● Protel で完成させた PCB を Altium データに変換して利用
Protel で完成させた PCB を Altium Designer に読込み Altium 統合環境を利用して シミュレーション、ドキュメント出力などを行うことができます。

多数の Protel をお使いの場合、一気に移行できればそれに越したことはないのですが、そのような場合にもやはり、移行期にはProtel との併用が必要になるはずです。このためアップグレードに際しては、 トライアルライセンス 等を利用して、データの互換性を特に詳しく調査されることをお奨めします。

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