使用許諾契約書|ライセンスは誰(どこ)に提供されるのか?

 Altium の 使用許諾契約書 の冒頭には「使用許諾契約に同意できない場合には、即座に返品するように」と書かれています。しかしこのような負の取引は決して好ましいものではありませんので、事前に使用許諾契約書を詳しくお読みいただき、許諾条件にご同意いただいたうえでご発注くださるようににお願いいたします。 2015年5月の改訂版

さて Altium Designer のライセンス購入時には、ユーザー登録を行いこのユーザーに対してライセンスが納品されます。しかし、このユーザー情報には組織名と部門名、個人名などが含まれており、ライセンスの提供先(使用許諾先)が会社(学校)なのか?、またその中の一部門なのか?、またその組織に所属する個人なのか?はっきりしません。

そこで、使用許諾契約書の内容を確認してみました。まず全体をみわたしましたが、ライセンス相手を明示的に示してしる条項は見当たりませんでした。しかし、複数の条項に制限事項の記載があり、これらから使用許諾先を推測することができます。

たとえば、条項 2.3.1.に禁止事項として「お客様の関連会社、子会社または部門、異なる地理的場所に所在するお客様の事業の一部、または第三者に対して、いかなる一部であれ、許諾資料をコピーすること、これにアクセスすること、これを使用することを許可すること」という記載があります。

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ここでは「異なる地理的場所に所在するお客様の事業の一部」に対して使用を認めておらず、実質的に使用許諾の相手(範囲)はライセンスを購入した会社の同一敷地内の事業部ということになり、ユーザー登録された個人名はその管理者ということになります。
* 注: 英語版 EULA の Divisions の表記を日本語 EULA では部門と表記されていますが、ここではこれを事業部と表記しています。

しかし、この条項で使用が許可されていない「関連会社、子会社または部門、異なる地理的場所に所在するお客様の事業の一部、または第三者」についても「一時使用」の形でライセンスの使用が認められており、条項1.23.で規定された制限の範囲内でライセンスを利用することができます。

また「同一敷地内の事業所」内の全てが使用許諾の対象になる訳では無いことに注意しなくてはなりません。使用許諾を得るには、使用許諾契約書に対する同意が必要です。しかし、管理者がインストールしたプログラムを利用する場合には、利用者は使用許諾契約書への同意手続きを行っていません。このため、自分自身でプログラムをインストールしていない場合には、規定の上では一時使用としてライセンスを利用していることになり、項1.23.による制限を受けることになります。

以上、ご購入いただいたライセンスは、他部署であってもも同一敷地内の同一事業部であれば、正式に使用許諾されたライセンスとして遺憾ご利用いただくことができます。また一時使用であれば、異なる住所にある関連部門、子会社、関連他社などでご利用いただくことができます。

以上、、管理者の方々はこの 使用許諾契約書 の内容を詳しく読み、その制限を超えない範囲で運用していただくようにお願いします。

なお、ここでの使用許諾契約書の解説はあくまでアンビル コンサルティングの見解です。使用許諾契の内容は、製造元とエンドユーザ様との間の合意事項ですので、ご自身の解釈でご判断ください。さらに末尾には「本契約の翻訳に起因して不明確な点が生じた場合は、英語版を真正版と見なし、これが優先するものとします」という条項がありますので、クリチカルな部分については 英語の原文 を確認することが必要になります。 

以上、使用許諾契約書の内容に関するお問合せは info@anvil.co.jp または Altium Designer お問合せフォーム にて承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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